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2010年の事業仕分けにおける勝間和代の発言について

登録日:2014/09/28

このたび御嶽山の突然の噴火により被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。また、不幸にして亡くなられた方々には心より哀悼の意を表します。
 
さて、本件について弊社所属の経済評論家勝間和代が2010年の事業仕分けにおいて次のように発言したことを誤解され、批判する人がおられるそうです。
 
「大規模噴火は数千年に1度なのに24時間の監視が必要か」
 
そして、今回の噴火について、「この仕分けがなければ、今回の被害は防げたのではないか」という文脈で、勝間和代の責任を追求し、SNSなどを通じて質問や非難を寄せています。
 
しかし、この当時の発言の真意は、「費用削減のためには、火山が噴火して人が死んでもいい」という意味ではもちろんありません。
 
火山の噴火を人工的に止める手段がない上、いくら精密に監視をしても噴火を100%予測することは不可能である以上、噴火による被害を減らすために、産学連携などで噴火予測により効果的な費用配賦方法があるのではないかという問題提起です。この点をぜひ誤解なきようにお願いいたします。
 
尚、今回の噴火の予測態勢に関する事実を確認しておきます。
 
まず、気象庁では御嶽山を「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として、当時の仕分けとは関係なく、現在も24時間監視をしていました。気象庁ホームページには次のように記載されています。
 
110の活火山のうち、「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された47火山については、噴火の前兆を捉えて噴火警報等を適確に発表するために、地震計、傾斜計、空振計、GPS観測装置、遠望カメラ等の火山観測施設を整備し、関係機関(大学等研究機関や自治体・防災機関等)からのデータ提供も受け、火山活動を24時間体制で常時観測・監視しています。(出典:気象庁HP)
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/intro/gyomu/index92.html
 
参考:各種の火山観測(常時観測・機動観測)
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/volmonita/volmonita.html
 
また、産経新聞の報道によれば、気象庁は今回の噴火予測について次のようにコメントしています。
 
御嶽山では11日に火山性地震が多発していたが、気象庁火山課の北川貞之課長は「その後は減ったため、特段、危険性が高まっているとは考えていなかった」と説明。過去の噴火回数も少なく経験値が低いことに加えて、地殻変動など噴火の予兆を示すデータが他になかったことも理由に挙げ、「前もって予測することは難しかった」と釈明した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140927/dst14092721060017-n1.htm
 
予算をつぎ込んだ分だけ噴火予測の精度が確実に上がるのであればそれは素晴らしいことです。しかし、残念ながら地震や噴火などの地殻変動を完璧に予測するシステムは確立されておりません。1980年代から地震予知は研究されてきましたが、東日本大震災を予測することはできませんでした。今回の噴火予測も全く同じ技術的な壁にぶつかっているようです。これは気象庁のコメントに端的に表れている通りです。
登山者への噴火被害をゼロにするためには、完璧な噴火予測を追い求めるより、より厳しい入山規制などソフト面での対応こそが重要であると思われます。前掲の勝間の発言はこれらの論点を踏まえた上での発言です。この点について、くれぐれも誤解のないようにお願いできれば幸いです。
 
勝間和代所属事務所
株式会社監査と分析
代表取締役 上念 司


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